十五の石の物語
*
「おはようございます。」
次の朝、私は多少気を遣い、いつもより早めに起きたつもりだったが、ピェールはすでに目を覚まし、朝食の用意に取り掛かっていた。
灰色に変わっていたアマゾナイトは、また元の色に戻っていた。
私には詳しいことはわからないが、おそらくは湿度や温度のような何らかの影響で、一時的に変色しただけのことだろう。
気にする程のことではない。
「おはよう。もう起きてきたのかい。
昨夜はよく眠れたかね?」
「ええ。自宅よりも熟睡出来ました。」
「それは良かった。」
ピェールは嬉しそうににっこりと微笑む。
何か手伝うべきかとも考えたが、私は朝食の支度等したことがない。
却って邪魔になると考え、手持ち無沙汰にぼんやりと窓の外を眺めた。
私の部屋からの眺めとは違い、美しい湖等見えない。
窓の向こう側には雑草の繁った狭い空き地が見えるだけだった。
私は、景色を諦め、高い空に目を移した。
「おはよう!」
物音に続き、サリーの元気の良い声が部屋に響いた。
ちょうど朝食も出来あがり、私達は三人で小さなテーブルを囲んだ。
野菜のスープとパンとコーヒーだけのごくシンプルな朝食だった。
(紅茶の方が良いのだが……)
私はふとそんなことを考えながら、あまり好きではないコーヒーに口をつけた。
後で、どこかのカフェで飲めば良いのだと自分をなだめながら……
「指輪…元に戻ったんだね。」
「そのようだ。」
ピエールとサリーは私の指輪をじっとみつめ、何とも言えない複雑な表情を浮かべた。
「……さてと…
……じゃ、そろそろでかける?」
その場に漂う気まずい雰囲気を振り払うかのように、サリーがやけに明るい声を発した。
「あ…あぁ、そうだな。
ピェールさん、木の場所を教えていただけますか?」
「その必要はないよ。」
「どういうことだ?」
「あたしが一緒に行くから!」
思いがけないサリーの言葉に、私は戸惑った。
「おはようございます。」
次の朝、私は多少気を遣い、いつもより早めに起きたつもりだったが、ピェールはすでに目を覚まし、朝食の用意に取り掛かっていた。
灰色に変わっていたアマゾナイトは、また元の色に戻っていた。
私には詳しいことはわからないが、おそらくは湿度や温度のような何らかの影響で、一時的に変色しただけのことだろう。
気にする程のことではない。
「おはよう。もう起きてきたのかい。
昨夜はよく眠れたかね?」
「ええ。自宅よりも熟睡出来ました。」
「それは良かった。」
ピェールは嬉しそうににっこりと微笑む。
何か手伝うべきかとも考えたが、私は朝食の支度等したことがない。
却って邪魔になると考え、手持ち無沙汰にぼんやりと窓の外を眺めた。
私の部屋からの眺めとは違い、美しい湖等見えない。
窓の向こう側には雑草の繁った狭い空き地が見えるだけだった。
私は、景色を諦め、高い空に目を移した。
「おはよう!」
物音に続き、サリーの元気の良い声が部屋に響いた。
ちょうど朝食も出来あがり、私達は三人で小さなテーブルを囲んだ。
野菜のスープとパンとコーヒーだけのごくシンプルな朝食だった。
(紅茶の方が良いのだが……)
私はふとそんなことを考えながら、あまり好きではないコーヒーに口をつけた。
後で、どこかのカフェで飲めば良いのだと自分をなだめながら……
「指輪…元に戻ったんだね。」
「そのようだ。」
ピエールとサリーは私の指輪をじっとみつめ、何とも言えない複雑な表情を浮かべた。
「……さてと…
……じゃ、そろそろでかける?」
その場に漂う気まずい雰囲気を振り払うかのように、サリーがやけに明るい声を発した。
「あ…あぁ、そうだな。
ピェールさん、木の場所を教えていただけますか?」
「その必要はないよ。」
「どういうことだ?」
「あたしが一緒に行くから!」
思いがけないサリーの言葉に、私は戸惑った。