十五の石の物語
「……なんだって?」

「だから、あたしが精霊の木まで連れていってやるって言ってんの!」

「それはええ考えじゃ!わしも連れていってやりたいところじゃが、店を放っては行けんからなぁ…
サリー、頼んだぞ。」

「任せときな!」

「あ…あの…」

私の話を聞こうともせず、ピェールとサリーは西の塔の魔女の話で盛り上がっていた。

木のある場所を教えるだけで良いといっても、今更、サリーは素直に聞くことはないだろうと。
それに、私には特に断る理由もない。
見知らぬ場所に行くには、道案内がいた方が安心だ。
サリーも、わざわざ精霊の木まで案内したいというわけではなく、おそらく西の塔の魔女に会ってみたいのだろうとも考え、私はあえて断ることはしなかった。



(……好きにするが良いさ…)

話しているうちに、ますますサリーとピエールの話には熱がこもり、盛りあがっていく…



「では、そろそろでかけようか。」

私はいつもより大きな声を出した。

二人が一斉に話をやめ、同じような顔つきで同時に私を見つめた。

その仕草がやけにおかしくて、私は思わず吹き出してしまった。



「何なのさ〜!いきなり笑い出して…」

「……いや、なんでもない。失礼した。」

「おかしな人だね。……ま、いいや。
じゃ、ピェール…行ってくるからね!」

「あぁ、気を付けてな。
レヴさん、幸運を祈ってるからな。」



私はピェールに礼を述べ、サリーと共にその場を後にした。



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