十五の石の物語
「じゃ、気を付けて行きなよ!
あ、そうだ…!これを持って行きな!」

そう言うとシャルロはダニエルの写真をジネットに手渡した。



「こんな大切なものを…
よろしいのですか?!」

「かまわないさ。
これをもってたら、ダニエルがあんたと息子を出会わせてくれるかもしれないからな。
そして、もし会えたら…その写真を彼に渡してやってほしい」

「わかりましたわ。
私、必ずこの写真を案内人さんに手渡します…!」

「頼んだぞ!
俺もあんたが案内人に会えるように祈ってるからな。」

「ありがとうございます。シャルロさん。」

ジネットはシャルロに礼をのべると、また隣町を目指して歩き始めた。



(……一体なんてことかしら……
レヴさんと一緒にいたら、案内人さんに会えるだなんて……
無理をいって旅に同行させてもらったことは正しかったのね。
いえ、これこそが運命だったのかもしれないわ…!)

ジネットは心に小さな希望の光が灯ったのを感じた。



(そういえば、サリーさんは一体いつシャルロさんのお店に行かれたのかしら…?
この町に来た時はレヴさんお一人で行かれたはずだし…
もしかしたら、先日、一人で行動したいと言われた時なのかしら…?
サリーさんも私のように町でシャルロさんの噂を聞かれたのかしら…?
でも、もしそうなら何をシャルロさんに相談されたの…?
お元気そうに見えるけど…もしかしたらサリーさんも心の奥になにか悩みを持ってらっしゃるのかもしれないわ。)

そんなことをあれこれと考えながら、ジネットはただ黙々と歩いき続けた。
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