十五の石の物語




「ジネット、今日も帰って来なかったねぇ…」

「本当に大丈夫でしょうか?
まさか、誰か悪い奴に騙されて……」

ヴェールの表情が硬く強ばったものに変わる。



「……大丈夫だとは思うが…何分、詳しいことがわからないからな。」

「まだ三日じゃないか。そんなに心配しなくても大丈夫だってば!」

「探した方が良いのではないでしょうか?」

「……そうだな…
では、今日一日待って、それでも戻らなかったら、探してみることにしよう。」

ヴェールの気持ちが感染したのか、私もだんだんと心配になってきた。
私達はお互いに不安な顔を付き合わせた。



「大丈夫だって言ってるのに~…
第一、どこを探すのさ!」

「町でジネットさんを見た人がいないか、情報を集めてみよう…」

結局、その日は、皆、部屋にひきこもり、無為に一日を過ごした。
ジネットはその晩もやはり戻らなかった。
私の心配は募っていたが、それよりもヴェールの動揺は傍目にもはっきりとわかる程、さらに大きなものだった。

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