十五の石の物語
「ずいぶん遠くまで行ったのかい?」

「え、ええ…まぁ……」

「カフェからあわてて飛び出したって聞いたけど…」

「あ…あ、そうなんです。
ちょっと知ってる人をみかけて……
その方を追い掛けようと…」

「何?ジネットの探してる人の知り合いかなにか?」

「そう!そうなんです!
その方にお話を聞いたら、なにかわかるんじゃないかと思ってあわてて追い掛けたんですが、途中で見失ってしまって……
でも、なんとかみつけたくて深追いしたらどうやらそっちは見当違いの方角だったらしく、やっと諦めて戻ってきたのです。」

「そうだったのかい…
それは残念だったね。」

「ええ…でも、また頑張って探しますから!」

落胆してるかと思いきや、ジネットが意外な程元気にしていることに、サリーは少なからず驚いた。



(私ったら、とんだ大嘘吐きだわ…
サリーさん、ごめんなさい……)



「あ、そうだわ。ヴェールさんやレヴさんをお迎えに行かなくては…」

「大丈夫だよ。もうじき帰って来るさ。
それより、あたし、喉がからからなんだ。
お茶でも飲んで待ってようよ。」

二人が部屋に戻り、お茶を飲みながら話をし…あたりが暗くなった頃、ようやくレヴが戻った。



「ジネットさん!」

「レヴさん、ご心配をおかけしました。」

「いや…ご無事なら良かった…
サリー…ヴェールはまだ戻っていないのか?」

「それがまだなんだよ。」

「私、お迎えにいってまいりますわ。」

「いや、彼ももう帰って来るだろう。
今からでかけると、行き違いになってしまうかもしれない。
ここで待った方が良いでしょう。」

しかし、ヴェールはなかなか戻っては来なかった。
ヴェールが戻ったのは、それから二時間近くが過ぎ、あたりが真っ暗になった頃だった。



「ヴェールさん!」

「ジネットさん、帰ってらっしゃったんですか!」

「ええ…ご心配をおかけして、本当に申し訳ありませんでした。」

「いえ…あなたがご無事ならそれで良いのです。
本当に良かった…」

「あ~あ、レヴもヴェールも同じようなこと言っちゃって…
ジネットには本当に二人共優しいんだから。
ずるいよ……」
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