十五の石の物語
「何を言ってるんです。
私はサリーさんでも同じように探しますよ!」

「本当かなぁ…?」

サリーは疑ぐるような視線をヴェールに送った。



「本当だとも。
ただし、君の場合は帰らなくなって三日では探さないな。
まぁ、早くて半年か…」

「ああ、ああ、どうせそうでしょうよ!」

そうは言いながらも、サリーの顔は怒ってはいなかった。
サリーのジネットへの妙な対抗意識のようなものがいつの間にか、薄らいでいるようだ。
その晩は数日ぶりに四人での夕食となった。



「やっぱり、この四人で食べるのが一番良いね!」

「私まで混ぜていただいてすみません。」

「そんなことないよ。
この二人は女心がわからない奴らだから、同性のあんたがいて助かってるんだよ。」

「女心…とは!
似合わないことを言うから、喉に詰まりそうになったぞ。」

「ほらね。こんなことばっかり言われるんだからね。」

「レヴさんは妹のあなたが可愛くてそんなことをおっしゃるんですわ。」

「やめて下さいよ、ジネットさん!」

「な~んだ、そういうことだったのかい。
それならそうといってくれりゃ良いのに…!
兄さんったら、本当に照れ屋なんだから…!」

そんな軽口を言い合いながら笑顔で囲む食卓に、私は却って奇妙な不安を募らせた。



(……こんな日がいつまで続くのだろう…?)

ふとそんなことを考えている自分に気が付いた。



(いけない……
どうやら、まだ気持ちの切り替えが出来ていないようだ。)



「ところで、今後のことなのだが……」

私はジネットを探しに行った際に、隣町の情報を聞きこんでいた。
すぐ近くに、ここと同じような小さな町があるというのだ。



「面白いことに、その町は『星の町』と呼ばれているらしい。」

「『愛の町』の次が『星の町』?
ここらにはよほどロマンチストが住んでるんだね!」

「そうかもしれないな。
しかし、星は幸運の印とも言うぞ。
今度こそ、ジネットさんの探してる情報にめぐり合えるかもしれない…」

「おっと、ここにもロマンチストが一人いたよ!」

サリーは、私をからかい大袈裟に笑った。
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