十五の石の物語
サリーは、自分の部屋にひきこもり、星の石に祈りを捧げた。



(……お願いだ…
私の願いをきいておくれよ。
レヴのことを助けてほしい…!
なんでレヴがそんな役目をしなくちゃいけないのさ。
あんな世間知らずのおぼっちゃまにそんな大変な役目なんて出来やしない。
…そうだ!私がレヴの代わりにその役目を引き受けるよ!
だから、お願いだ…!
どうかレヴの命を助けておくれ…!)

サリーは心をこめて目を閉じ一心に祈った。
時間を忘れ、ずっとずっと祈りを捧げ続けた。



カシャーン……

突然響いた乾いた音にサリーははっと目を開けた。
サリーの目の前には、粉々に砕け散った星の石の欠片が広がっていた。



「………星の石が…!」



(これは……石が祈りを聞き入れてくれたということ…?)

サリーはレヴの眠る部屋に急いだ。



「サリーさん…」

「レヴの様子はどうだい?」

ジネットは悲しそうに頭を降った。



「相変わらずですわ。
熱が一向に下がらないのです。」

「そうかい……」

何も変わってはいなかった…
もしかしたら、さっきの出来事は、祈りが通じてレヴの容態が良くなったということなのではないかと淡い期待を抱いていたサリーはがっくりとうなだれた。



「私、氷をもらってきますわ。」

いくら冷やしても、レヴの熱ですぐにタオルは生温かくなってしまう。
レヴは大量の汗を流し、苦しそうな息をしていた。



(……可哀想なレヴ…あんな石のせいで…)

サリーは毛布の中からレヴの手を引き出し、憎らしげにアマゾナイトの指輪をみつめた。



(……畜生!!この石のせいで…)
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