十五の石の物語
私はあわててそこらの月光草を摘み取った。
間に合わないことはわかっているが、サリーも一人では心細いだろう。
急いで山を降りようとした時、背中の方から「ありがとう」という声がした。
私は反射的に身体を翻す。



「マ、マダム、どうしてここへ?!」

とても登れないと言っていたあの婦人が来ていたことに私は面食らった。
それとは逆に、婦人は落ち着きはらった顔で微笑むと、不意に私の手を取った。



「さぁ、行きましょうか…」

「行くとは?……どこへです…?」

私が瞬きをしたかしないかの瞬間、あたりの景色が一変した。



「レヴ!」

「サリー!!……こ、ここは……私は、一体…!」

まるで狐につままれたようで、私達は現在の状況を全く飲み込めないでいた。


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