十五の石の物語




一週間もすると、私の体力は元通りとは言わないまでも、ほとんど普段通りに動けるようになった。
しかし、西の塔の魔女は、何かと言うと私を部屋にひきとめようとしていて、そのことがどうも奇妙に感じられた。



(……何かがおかしい。)



「マダム、サリーやヴェールはどうしたのですか?
もう一週間も顔を見ていませんが……」

「彼等のことなら、心配ないわ。
あなたは、あなたの……」

「私ならもう大丈夫です。
彼等に何かあったのですか?
なぜ、彼等はここへ来ないのです?
何かあったのなら、隠さずに教えて下さい。」

その時、扉を叩く音が響き、ヴェールが姿を現した。



「ヴェール…!」

ヴェールの変貌に、私は思わず驚きの声を上げた。
げっそりと痩せ、青白い顔をしたヴェールが力なく微笑む。



「レヴさん…良かった。
お元気になられたんですね……」

「君は……君は、一体どうしたというのだ?!
そんなに痩せて……
一体、何があったんだ…!!」

西の塔の魔女は、ヴェールを自分の隣に座らせた。



「ヴェールさん、ついにお話する時が来たようです。
レヴさんにすべてをお話しなさい。」

「ヴェール……
何があったんだ?
話してくれ…!」

「レヴさん、あせらないで。
ゆっくり、ヴェールさんのお話を聞いてあげて。
……その前に、レヴさん…
あなた、もうお気付きかしら…?」

「何をです?」

西の塔の魔女は黙って視線を落とし、私の指をみつめた。



(……ない!…あの碧きアマゾナイトの指輪が…!)


私は、言われるまでそのことに気付いていなかった。
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