十五の石の物語




(……魔石の悪い影響が現れ始めている……)

サリーは焦りを感じていた。



(早く、なんとかしないと…!
このままじゃ、大変なことになってしまう。
……でも、一体、どうすれば!?)



その夜、サリーはヴェールを外へ呼び出した。

「サリーさん、レヴさんのことで何か?」

「実はそうなんだ。
ほら…東の村を経つ前の晩、あんたとレヴが外で話してただろ?」

「ええ……そのことがどうかしたんですか?
あの時に何か?」

サリーは俯いたまま、ぐっと拳を握り締めた。



「サリーさん……?」

「……なかったんだよ……レヴの影がなかったんだ…!」

「…影が……?
サリーさん…そ、それはまさか…!?」

「そんなこと、私が絶対許さないよ!
レヴは私が絶対に助けてみせる…!
でも、そのために私は一体どうすれば良いんだろう…!?
ねぇ、ヴェール、なにか良い案はないかい?
あたし…どんなことでもするから!」

サリーは、ヴェールの両腕を掴み、感情的な声で訴える。



「……そうですね。何かをしなければいけませんよね。
ここでじっと待っているだけでは何も変わりはしないのですから……」

「だけど、どこへ行って何をすれば良い?
どうすれば、レヴを助けられるんだろう…?
ヴェール…教えておくれよ!」

「それは……
残念ながら…私にもまるでわかりません。
しかし、必ず方法はあるはずです…!
私だって、あの暗き森から離れ、ここまで来ることが出来たのですから…
そして何の手がかりもないと思われた森の民のことが、いろいろとわかったのですから…
考えてみましょう!
そして、なんとしてもレヴさんを助けましょう!」

「ありがとう、ヴェール…
あんたには迷惑な話かもしれないけど、今、頼りに出来るのはあんただけだよ。」

サリーは、ヴェールの手を握り締め、潤んだ瞳でじっとみつめた。
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