十五の石の物語




「ジネット…今回の旅は少し長くなるかもしれないけど、レヴのことを頼むよ…」

「わかりました。
レヴさんのことはご心配なく。
私が命に変えてもしっかりと看病いたしますわ。
お二人共、どうぞご無事で……!」

二人はどこへ行くとも何をしに行くとも言わなかったが、それがなにかとても大切なことなのだとジネットは感じ、あえて訊ねることはしなかった。
訊ねた所できっと教えてはもらえないであろうこともわかっていた。
今は二人の言う通り、ここでレヴの看病をするしかないのだ。
心細い気持ちはあったが、ここにいればレヴ達と別れる事にはならない……それだけが案内人に出会う可能性をもたらすことなのだと、ジネットは何度も自分自身に言い聞かせた。



(レヴさん達と一緒にいることが、私の使命に繋がることなのだから…)



サリーとヴェールは西の森を目指して歩き始めた。
今回は急ぎの旅だ。
ネリーとフランツの所へ寄って行く暇はなかった。
満月の夜までにはまだ一ヶ月近くあったが、どんな道のりかわからない。
今までだってとても困難な道程だった。
フランツはともかく、旅慣れていないネリーを連れていって、時間がかかってしまっては困ると考えたからだ。

幸いな事に、西の森の近くにはそれほど困難な道はなく思ったよりもずっと順調に進むことが出来た。



「今回は思ったよりも楽だったね。
この調子だったら、ネリー達を連れて来ても良かったかな?」

「そうとも言えませんよ。
西の森はだいたいこのあたりだと思いますが、満月の夜ももう近い…
ほんの数日でも遅れたらまたさらに一ヶ月待たねばいけないことになります。
私達に時間はありません。慎重を期さなくては。」

「その通りだね。
とにかく、あの町で情報を聞きこもう。
光の途はここから近いんだろう?」

「ええ……私の予想では町の向こうのあの山……
あのあたりではないかと考えているのですが……」

ヴェールはそう言いながら、目の前に広がる小高い山を指差した。
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