十五の石の物語
「そうだったんですか…
じゃ、レヴに月光草をとりに行かせたのは…?」
「今までにあの願いを聞いてくれた人は一人もいなかった…自分のことより他人のことを優先する人間なんて滅多にいないものなのよ。
私はね、そういう変わった人が好きなの。」
「しかし、あれは……」
言いかけて、私は口をつぐんだ。
それは、私が西の塔の魔女の事を半信半疑だったからこそ、月光草を取りに行ったのだということなど、わざわざ言わなくても彼女にはもうとっくにわかっているのだろう……
「……そうです。
たとえ、そうであったとしても、あなたは他人への恩義を忘れない人。
自分の信念を貫く人なのです。
それはとても良いことであり……しかし、場合によってはその逆もあるかもしれないわね。」
その言葉に、何か感じるものはあったが、それが何なのか、その時の私にはまだわからなかった。
「では、お行きなさい。
そうそう……次に出会う時までこれを持っていて…」
西の塔の魔女は、私に小さな袋を手渡した。
「これは…?」
袋の中の固いものを私は掌に落とした。
出て来たのは意外にも黒い小さな石だった。
「それは、黒水晶です。
邪悪なものからあなた方を護ってくれる力強い石です。」
「ありがとうございます。
大切にします。
では、またお会いする日まで……」
「あ、あの…『おばあちゃん』なんて言ってごめんなさい。」
***
レヴとサリーは西の塔の魔女と別れ、新たな旅へ歩み出した。
彼らにあて等なかったが、十字架が進むべき場所へ導いてくれることを強く信じて……今の彼らにはそうすることしか出来ないのだから……
2.黒水晶…fin,
じゃ、レヴに月光草をとりに行かせたのは…?」
「今までにあの願いを聞いてくれた人は一人もいなかった…自分のことより他人のことを優先する人間なんて滅多にいないものなのよ。
私はね、そういう変わった人が好きなの。」
「しかし、あれは……」
言いかけて、私は口をつぐんだ。
それは、私が西の塔の魔女の事を半信半疑だったからこそ、月光草を取りに行ったのだということなど、わざわざ言わなくても彼女にはもうとっくにわかっているのだろう……
「……そうです。
たとえ、そうであったとしても、あなたは他人への恩義を忘れない人。
自分の信念を貫く人なのです。
それはとても良いことであり……しかし、場合によってはその逆もあるかもしれないわね。」
その言葉に、何か感じるものはあったが、それが何なのか、その時の私にはまだわからなかった。
「では、お行きなさい。
そうそう……次に出会う時までこれを持っていて…」
西の塔の魔女は、私に小さな袋を手渡した。
「これは…?」
袋の中の固いものを私は掌に落とした。
出て来たのは意外にも黒い小さな石だった。
「それは、黒水晶です。
邪悪なものからあなた方を護ってくれる力強い石です。」
「ありがとうございます。
大切にします。
では、またお会いする日まで……」
「あ、あの…『おばあちゃん』なんて言ってごめんなさい。」
***
レヴとサリーは西の塔の魔女と別れ、新たな旅へ歩み出した。
彼らにあて等なかったが、十字架が進むべき場所へ導いてくれることを強く信じて……今の彼らにはそうすることしか出来ないのだから……
2.黒水晶…fin,