十五の石の物語
そうは言ったものの、あたりは閑散とした土地が続くばかりで、そんな場所に宿がある筈もなかった。
親切な誰かに一夜の宿を頼むしかないと考えながら、私達は寂しい道を歩き続けたが、しばらく歩いてもその民家さえもがみつからなかった。
引き返そうにももうずいぶん遠くまで来てしまっている。
今更こんなことを言っても仕方がないが、体裁等を考えず、あの時すぐに戻るべきだったと私は深く後悔した。



「……家、ないね…」

「そのようだな…」

「今夜は野宿かぁ…」

「野宿……?!」

「泊まる所、みつからなかったら仕方ないよね。」

「……そんな…」

私はともかく、女性のサリーに野宿なんてさせられない。
なんとかして泊まれる所を探さなくては…!
私の想いはただそれだけだった。



「……レヴ、もしかして、野宿なんてした事ない?」

「キャンプならあるが……」

「キャンプ?」

サリーは声をひそめてくすくすと笑う。



「レヴはやっぱりお坊っちゃまなんだね。」

「そんなことはない。
ただ、今まで野宿をする機会に恵まれなかっただけだ…!」

「野宿する機会だって…?」

そう言うとサリーは声をあげてけらけらと笑い始めた。
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