十五の石の物語
森の中は奥へ進む程に暗く、生い茂る木々のせいで月明かりさえほとんど届かない。
すぐそばにいるサリーの姿さえよくは見えない漆黒の闇の中、私達の草を踏みしめる音が妙に大きく響き渡る。
そのうちに道はどんどん細くなり、私達は枝を手で払い除けながら進み続けた。
やがて、私は気が付いた。
森の中ですっかり方向感覚を失ってしまったことに…
まるで目隠しをするように鬱蒼と枝を伸ばす木々のせいで空は見えず、十字の星がどちらにあるのかさえもわからない。
薄ら寒い空気の中、歩き回った私の額には汗がにじんでいた。
鉛のように重くなった足をひきずるうちに、ほんの少し森の中が明るくなったようにも感じられたが、それは夜明けが近いということなのかどうかさえも私にはよくわからなかった。



「サリー、しばらく休もう……」

そう言いたかったのだが、あたりにはゆっくりと腰を降ろすような場所が見当たらない。

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