十五の石の物語
「あなた方は石を……」

ヴェールの動揺はあまりにも大きいように感じられた。



「ヴェール、どうかしたのか?」

「実は……実は私も探している石があるのです。」

「ヴェールも石を!?どんな石を探してるんだい?」

「父が亡くなる時に言い残したのです。
キャストライトをみつけよと……
その石の力を借りれば、普通の人間になれるかもしれないと……だから、必ずみつけるのだと父は言い残したのです。
しかし、そんな石がどこにあるのかまるでわかりません。
それに、たかが石の力でそんなことが本当に出来るのかも信用出来ませんでしたし…そして、なにより……

…私は…私はこの森を出るのが怖かった…
私の姿を見られるのが怖かったのです…」



それは無理もない話だ。
ヴェールの姿はきっと人々の好奇の視線を集めるはず。
さらに、いくら父親の遺言だとて、何の手がかりもないものを探し出せる道理がない。
しかし、彼の希望とも言える父の遺言は、彼の心にずっとひっかかっていたのだろう……



「……じゃ、一緒に探そうよ!」

「えっ?!」

私は顔が強張るのを感じた。
またサリーの悪い癖が始まったのだ。
後先考えずに、その時の感情にかられて物を言ってしまう悪い癖が。
探す宛もなく、しかもこの森を一度も出たことのないヴェールに、あんないい加減なことを言うなんて……
私は落ち着かない気持ちで、ヴェールの反応を待った。

< 57 / 414 >

この作品をシェア

pagetop