十五の石の物語
「お昼も近いことですし、あそこでもう一休みしましょうか。」

ヴェールが森の中の一点を指差した。
私にはその場所の様子は見えなかったが、ヴェールについて行くと、そこは少し拓けた場所になっており、苔のようなものがびっしりと生えていた。
私達は座るのにちょうど具合の良さそうな岩の上に腰を降ろした。



「ヴェール、もうずいぶん歩いたように思うのだが、出口まではあとどのくらいかかる?」

「あと少しですよ…森が明るくなっているのに気が付きませんでしたか?」

ヴェールにそう言われるまで私は気付いていなかったが、言われてみれば確かに明るくなっているように思えた。



「二人共、もう少しゆっくり歩いてよ!
あたしの足はあんた達みたいに長い足じゃないんだからね!」

そう言って、サリーが不服げに頬を膨らませる。


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