十五の石の物語




次の朝…
私が目覚めると、隣のベッドにいるはずのヴェールがおらず、私は驚いて身を起こした。



(ヴェール……!)



ヴェールは部屋の隅っこで頭から毛布をかぶってうずくまっていた。



「ヴェール、どうした!?」

「あ…あ、すみません。驚かせてしまって…
あまりにも太陽がまぶしくて…それで…」

「……そうだったのか。」


私はほっと胸を撫で下ろす。



しばらくすると、サリーが部屋に合流した。
朝食を運んでもらい、食事をしながら私達はこれからのことを話し合った。



「これからどこに行けば良いのかなぁ?」

「西の塔の魔女のいった『十字に導かれる』…という話がヴェールのことだとすれば……ヴェールが行き先を知っているということにならないだろうか…?」

「えっ!私がですか?」

「お父上はキャストライトのある場所については、何かおっしゃらなかったのか?」

「それが……父が言ったのは、『キャストライトを探せ!』ということだけなのです。
それ以上のことは何も……」

「そうか…」

ヴェールはキャストライトについては本当に何も知らないようで、私は少なからず落胆した。



(ということは、やはり、ヴェールが行き先を知っている…ということではなく、ヴェールの探しているものを探すことで、おのずと進むべき道がわかる…ということだろうな。
しかし、それをどうやって探せば良いというのか…?)

私は、またふりだしに戻されてしまったようで、焦燥感が募るのを感じた。

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