十五の石の物語




「遅かったじゃないか!どこ行ってたのさ!」

「ちょっとした買い物だ……いや、金は払ってないから買い物ではないか…」

「どういうこと??」

レヴはヴェールに帽子と黒眼鏡を手渡した。



「レヴさん、これは?」

「わぁ!良いもの買ってきたね!
あんたにしては気が利くじゃないか!
ヴェール、早速かけてみなよ!」

サリーはヴェールに黒眼鏡をかけさせると、彼を窓の傍に連れていった。



「……どう?」

「これは良いです!とても目が楽になりました。」

「それは良かった。」

私は今日一日忙しくしていたことが報われたような気がした。



「レヴさん、本当にどうもありがとうございます。私のためにこんなに気を遣っていただいて…」

「レヴ、どこまで買いにいったんだい?
それにお金払ってないってどういうこと?」

「それはだな……」

本当のことをいうと迷惑をかけたとヴェールが気にするかとも思ったが、世話になったあの男のことを隠しておくのも気が引けて、私は事の成り行きを二人に話して聞かせた。

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