十五の石の物語
「そうだったんですか。
レヴさんにはとんだご迷惑をおかけしてしまいましたね。
それに、その方にも本当に感謝いたします。
出来ることならお会いしてお礼を言いたいところですが……」

「とても気持ちの良い青年だったから、君を見てもおかしな風には取らないと思う。
もし、会いたいのなら、暗くなってからでも会いに行くか…?」

「……いえ…それはまたの機会に…」

やはり、ヴェールにはまだ見知らぬ人に会う勇気はないようだ。
それも仕方のないこと。
少し急ぎ過ぎたと反省した。



「わかった…では、食事を済ませたら出発しようか?」

「私達、食事はもう済ませたよ。
レヴ、遅いんだもん。」

「…そうか…では、私は下で何か作ってもらって食べてくるから、少し待っていてくれ。」

本当ならもっと早くに発つつもりだったのだが、私が黒眼鏡の男の所へ行ったおかげで出発がすっかり遅くなってしまった。
行き先が決まっているわけではなくそれゆえに急ぐ旅でもなかったが、この町にいても何も情報は得られそうにないため、大きな町に行ってキャストライトのことを調べた方が良いだろう。



(そうだ、宿の主人に町までの道を聞いておかなければ…)

私は食堂で軽い食事を注文した。



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