十五の石の物語




食事を済ませて部屋に戻ると、部屋の扉が開き、その前に先程の男が立っているのが見えた。
私は、男の背中を押して部屋に入れると、あわてて扉を閉めた。



「こいつは驚いた!」

男は、ヴェールのことをまじまじとみつめ、声を上げた。



「レヴ、この人、誰なのさ?」

「この方は、先程話した帽子と黒眼鏡を下さった方だ。」

男は、二人の話す間にも穴の開く程、ヴェールの顔を見つめ続ける。



「一体、どうしてここへ…?」

「あ……実はあれから、キャストライトのことを思い出して知らせに来たんだが……余計なことだったようだな。」

「余計なこと?
……どういうことです?」

「どういうことって…もう手に入ったんだろ?」

「いいえ…まだ何の手がかりもありません。」

「えっ?じゃ、この人は?」

男はそう言ってヴェールを指差した。



「彼がキャストライトを探しているのです。」

「この人がキャストライトを!?
……おかしいな。じゃ、俺の聞いた話は間違いだったのかな。」

「一体、それはどういうことです…?」

男の話すことはわけのわからないことばかりだった。

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