TWO WISH〜もしも願いが2つ叶うなら…〜
最初は小さな仕事ばかり…。



小企業のポスター撮影やパーティーの専属ヘアメイク…。




でも、そのパーティーで知り合った人に1つの仕事をもらった。




あるミュージカルのヘアメイク…。




その仕事を大成功させたコトをキッカケに仕事の幅は飛躍的に広がった。




俺のメイクが徐々に評価され始め、次々と大きな仕事が舞い込んでくる。




有名雑誌や大手会社広告の撮影…。



大規模なファッションショー…。




常にファッションやビューティーで最先端をゆくニューヨーク…。



その最前線へと一気に駆け上がっていった。




次第に色々な分野で様々な人が俺のメイクに目を向ける様になった。




一見、開花された様に見えたメイクアップアーティストとしての俺…。




ある日を境に突然、スランプへと陥った。




原因も解らないまま、急に上手くメイクができなくなっていく…。



そんな日々が続いた。





ある日、俺がモデルにメイクしているとジェシカが言った。





「ケン?貴方はこの人をキレイにしてあげたいと心からそう思ってメイクをしている?」





心を杭で打たれた様だった…。





「今の貴方が失ってしまったのは“人をキレイにしたい”という気持ちよ…。」





心にあったモノ全てを見透かされていた…。




メイクに対しての慣れ…。



いつしか“人をキレイにしたい”ではなく、“メイクをする仕事”という意識に変わってしまっていた自分…。




注目され始めた自分に酔い痴れ、周りの評価ばかりを気にして…。



昔は自分への評価なんて、どうでも良かったはずなのに…。
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