TWO WISH〜もしも願いが2つ叶うなら…〜
『この傷を見て…。』



ケンは右手に巻かれた包帯を取り、甲に刻まれた生々しい傷跡を見せた。




『少し前…。俺も自分で自分を傷付けた…。』



彼女は自分よりも酷い傷跡を前に驚きで言葉を失った。




『お兄さんの右手は動かないし、感覚もないんだ…。触ってごらん…。』



彼女は恐る恐るケンの傷口に触れる…。




「本当に何も感じないの…?」


『あぁ…。この手をナイフで切り付けた時…。少しも痛くなかった…。でもね…。例え、脳が痛みを感じなくとも心は、ちゃんと痛みを感じていた…。』


「私と同じ…。」


『だから、もぅ二度と自分で自分を傷付ける様なコトは止めようって思ったんだ…。』


彼女は少し考え込んだ後、1度だけ小さく頷いた。
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