TWO WISH〜もしも願いが2つ叶うなら…〜
「愛せない…。今は産んだコトを後悔してる。あの時に堕ろせば良かった…。」



その言葉を残して母親は家から出ていった。




ケンは泣きながら母親の後ろ姿を追い掛けた。




ママ…。



ボクを置いていかないで…。




愛してなくたっていいよ…。



オモチャも要らないし、もぅ泣いたりしない…。



良い子にするから…。




だから、お願い…。





ボクを1人ぼっちにしないで…。





それでも、一度も振り変えるコトなく、雪の中へと消えていった…。





3歳半のケンを捨てて…。





「ママ…。」




幼いケンに降り注ぐ雪…。




まるで“泣かないで”と慰める様に零れ落ちる大粒の涙を掻き消した…。


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