お兄さんと【完】
たったそれだけの文章を書くのに、何度もメッセージカードを書き直した。
なんか文字が汚いとか、こっちの文章のがいいとか、いつもだったら妥協してたようなことが、妥協出来なかったの。
自分でも不思議なくらいにね。
そのいつも以上に些細なことが気になったのは、メッセージカードだけでは終わらなかった。
クリスマス当日。
完成したゼリーのなかでも一番奇麗に仕上がったものを慎重に選び、自分が持っている服の中でも一番お気に入りの服を選んで、いつも以上に鏡の前に立って自分の姿を見た。
この慎重ぶりは、全くなんなんだか。
とりあえず、この日を楽しみにしてたことに間違いはない。
ゼリーを作る練習を重ねて、自分でゼリーが作れるようになっていくのと同時に、この日への期待も大きく膨らんでいったから。