お兄さんと【完】

恥ずかしくて、悔しくて、顔をあげられない。


ふみかさんは製菓女子大の生徒。


お菓子作りを専門に勉強してるからには、知識も技術もちゃんとしたものなんだろうね。


だって星くんがいつももらってきていたお菓子は、とってもおいしくて、見た目も市販のお菓子みたいに奇麗だし。


私のつくったゼリーなんかとは比べ物にならないくらい。


そんなことを思っていたら、今抱えているゼリーがものすごく不格好なものに見えてしょうがなくなる。


「こういうのは気持ちが大事なんだって。きっともらったら嬉しいはずだろ。」


男の人の言葉に素直に喜びも出来ず、自信も持てず、ゼリーを持ってきたことに後悔し始めた。


ほんと、私って不器用だよね。


そんな自分が嫌いになるよ。
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