お兄さんと【完】

「車に戻ろう。適当に路駐してきちゃったから、警察に見つかったらヤバいし。」


「あ、ごめん!」


やっぱり目を合わせられないままの私は、星くんの斜めうしろをついて行く。


駅前のロータリーの外れに止められた星くんの車。


2人で乗り込むと、無言のまま車は発進した。


どうしよう。


沈黙が痛い。


待ち合わせの時間に待ち合わせ場所にいなかったこと。


約束していたゼリーをあげられなかったこと。


心配をかけたこと。


謝りたいことはたくさんあるのに、この沈黙を破って第一声を出す勇気がない。
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