お兄さんと【完】
「俺はもう、ふみかからはお菓子はもらえないって言ったんだ。」
信号が青に変わって車が走り出す。
「そしたら遠回しに稀那ちゃんを傷つけちゃったね。本当にごめん。」
星くんが謝ることないよ。
むしろなんで私が謝られてるのかわかんない。
星くんが謝る必要はないよって、首を精一杯横に振った。
「どれだけ高級なゼリーよりも、どれだけ奇麗に作られたゼリーよりも、俺は稀那ちゃんの作ったゼリーが食べたい。だからものすごく今日がたのしみだったんだ。」
なにも言い返せなかった。
ノリとか流れとか、そんな軽い気持ちで私の作ったゼリーを食べたいって言ってるんだと思ってたから。
嬉しい。