お兄さんと【完】
星くんが握っていない方の手を自分の心臓に当てた。
手を当てずとも自分でドキドキと忙しい鼓動は感じてたけど、なんか落ち着いてくる。
「はい。」
短すぎるけど、私の精一杯の返事だった。
「ありがとう、稀那ちゃん。」
それでも、星くんには届いてくれた。
握り合っていた手を引っ張られて、そのまま星くんの身体に包まれる。
わぁぁぁっ。
「せ、星くん、あったかいね。」
「そりゃぁもう、体温上昇中だからね。」
緊張してるのは私だけじゃなかったんだ?
星くんからも、ドキドキ早い鼓動が聞こえる。