お兄さんと【完】

まぁ返事をした所まではよかったんだけど、早速1問目にして悩む私。


今教えてもらってる数学が一番嫌い。


間違っててもいいからなんとか答えを導き出して星くんに解説してもらいたいのに、横1列に並ぶ英数字をどうすればいいのかもわからないのが現状。


私の持つシャーペンが宙を彷徨うだけで、一向にノートに接しない。


突然横から伸びてきた手が、私の右手に振れる。


「わっ!!」


星くんの温かい手との接触に驚いた私は小さく声を漏らしてシャーペンをノートの上に落とした。


人差し指1本を唇に当てて『静かに』と笑う星くんが、私のシャーペンでノートに数字を綴っていく。


すらすらと進んで行くシャーペンを握る手を見つめると、細くてきれいな指が目に入る。


その先へと視線を移していくと、更にきれいな文字で英数字が並べられていく。


あ、この並び...


こっちの数字をここに当てはめて、1度計算するんだった気がする。
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