お兄さんと【完】
頭のなかで計算をしようと思ったときに、星くんは私の手にシャーペンを返してくれた。
再び握ったシャーペンで、星くんが導いてくれた計算式の続きを解いていく。
「うん、正解。計算の進め方は大丈夫だね。」
「でも星くんの手助けがなかったら解けなかったよ?」
「そうかもしれないね。」
笑いながらそう言われて、私は自分のバカさ加減に呆れるしかない。
「あとは問題と公式を繋げられればいいだけなんだよ。稀那ちゃんは問題見てもどの公式で解けばいいのかがわからないだけでしょ?」
「そう!」
「出題される問題の形と、解くための公式をセットで覚えれば稀那ちゃんは大丈夫だよ。」
「問題を覚えるの!?」
「問題じゃなくて問題の形。あとは問題によって数字が変わるだけだから。」