お兄さんと【完】
「でもまぁ、ここだったら会話聞かれることもないっしょ。」
かずちゃんが独り言のようにつぶやくと、花壇の一角にあるベンチに座った。
早速膝の上でお弁当を広げるこっちゃんを見て、私も渋々となりに座ってお弁当を開ける。
いつも3人で食べるのが当たり前の昼食。
かずちゃんは今頃どこかで一人、お弁当食べてるのかななんて考えてたら、私はとてもじゃないけどお弁当を食べるような気分にはなれないよ。
そんな私の気持ちを察してるであろうこっちゃんは、お弁当を見つめるだけの私を気にもせずに話始めた。
「冬休みにね、知らない人から声かけられたんだ。」
「?」
「年上の女で、ケバい化粧してたなー。その人が『あなたの友達は信用しちゃダメよ』みたいなこと言ってきて、うちはムカついたからシカトしたんだけどしつこく話しかけてきてさー。」
「えっ?なにそれ!?」
「うちが軽くキレたら、向こうがちょっとひるんでボロ出したんだよ。」
年上の女性ってわかっててキレちゃうこっちゃんって...強者だわ、本当に。