お兄さんと【完】

「ごめん。」


そう口にしたのは私じゃなくて、こっちゃんのほうだった。


「きなことかずさの兄ちゃんのことはなんとなく気づいてたんだけど、2人が秘密にしてるみたいだったからなにも言わなかったんだ。」


気づいたときには、私の視線はこっちゃんの方を向いていた。


半分は食べられたお弁当箱の中。


お箸の先でソーセージをコロコロと無意味に転がしながら話すこっちゃんの姿を見つめてた。


「うちは別にきなこが今幸せで、相手も幸せなら誰と付き合ったっていいと思う。その相手が例えかずさの兄ちゃんだとしてもさ。」


安心...って言ったらちょっと違うけど、なんか涙が出そうだった。


こんなに優しい親友がいるのに、私はなんで今まで隠しごとなんてしてたんだろう。


ちゃんと自分の口で恋愛話して、いっぱい相談して、一緒に喜んでもらいたかったな。
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