お兄さんと【完】

もうお昼休みも中盤にさしかかっていて、校内の廊下には昼食を食べ終えた生徒が多くいた。


そんな人ごみを避けながらスカートを乱して走る私。


きっと先生に見つかったら廊下を走るなって怒られるに違いないけど、今はそれどころじゃないっ!


教室に音楽室に保健室にトイレに...


とりあえず思いついた場所を闇雲に走り回って私は広い校内からたった1人の女子生徒を探す。


ポケットから出たケータイストラップがピョンピョンと跳ね狂う。


走りながら手でストラップを包み込んだ。


星くんからもらった青いクマが入った小瓶のストラップ。


星くんはかずちゃんに私たちの関係を知られるのが嫌かな?


だとしたらごめんね。


私はかずちゃんにもこっちゃんにも素直に話したいの。


星くんと過ごした今までの時間も、これからのことも。


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