お兄さんと【完】
それでも納得いかないような表情の2人は黙ったまま動こうとはしてくれない。
かずちゃんはまだしも、こっちゃんは納得いくまでとことん突き進むからねー。
どうしよう...。
「間違ってもいいや。うち、あの人と話してくる!」
「えっ!!!」
そう言って私がつかんでいた手を振り払ってこっちゃんは秀くんと話すふみかさんをめがけて歩き出す。
「ちょ、ちょっと待ってこっちゃん!!」
慌てて後を追いかけながら思わず出ちゃった大きな私の声に、秀くんとふみかさんが振り返る。
ばっちりと私とふみかさんの視線がぶつかったとき。
「なっ!!」
咄嗟に出た言葉にならない声を出したふみかさん。
え?
そのままUターンして私たちから逃げるように走り出した。