お兄さんと【完】
「せ、星くんっ!?あ、れっ、なんで?」
私の腕をつかんでいたのは軽く肩を上下させた星くんだった。
「それはこっちの台詞だよ。稀那ちゃんこそこんなとこでどうしたの?」
「あ、えーっと...。」
なにから説明すればいいのか頭が混乱する。
しかも走ったせいで酸素の足りない頭はうまく働いてくれない。
とりあえずこっちゃんとかずちゃんが走って行った方向に目をやると、ちょうどこっちゃんがふみかさんの腕を掴んだときだった。
「ふみかとなにかあったの?」
同じく私と同じ光景を見ていた星くんがいち早く状況を把握し始める。
「ううん、私の勘違いかもしれないんだけど...」