お兄さんと【完】

こんなときになぜか私は、星くんと目を合わせられずにいた。


だって、こっちゃんとかずちゃんに付き合ってることバレちゃったんだもん。


なんかこうやって手を取られて話してるのがちょっぴり恥ずかしい。


「勘違い?」


そう聞き返してきた星くんがはぁーっとため息を漏らしてその場にしゃがみ込んだ。


「星くん、どうしたのっ!大丈夫!?」


うつむいていた星くんが顔を上げて中腰の私を見上げてくれたときには、思わず心臓がドキッと高鳴った。


は、反則でしょっ!


このタイミングで上目遣い。


しかも眉下げながらヘラッとさわやかスマイル。


「稀那ちゃんの背中が見えたから近付いたら急に走り出しちゃうし、秀が事件だーなんて叫ぶから必死に追いかけちゃったよ。」


心配して繋がれたままの手を思わず握り返して心配しちゃった自分が恥ずかしいっ。
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