お兄さんと【完】
「でも付き合うのって簡単に幸せってだけじゃないわけよ。好きになればなるほど、離れてる時間がものすごく寂しく感じるし、ちょっとしたことことで傷つくし。だから幸せなぶん泣くこともあるし悩むこともたくさんあると思う。」
「そのときは私でもこっちゃんでもいいからなんでも話してね?いくらでも話聞くし、いくらでも泣いていいから。もちろんのろけとかも全然聞くからね!!そのかわりきなこちゃん泣かしたら、私がお兄ちゃんのとこに殴り込みに行くから!」
な、殴り込みって...。
でも、痛いくらいかずちゃんの優しさが伝わってくる。
昨日のこっちゃんの話といい、かずちゃんのこの話といい、私はこんなにも心配してくれる友達がいて幸せだよ。
どうしよう、もう既に泣きそうっ。
「おいかずさー、きなこのこといじめんなよっ。」
「ふぇっ?」
ちょっと潤んじゃった私の瞳が声のした方へ振り向くと、さっきまでかっこよく試合をしていたこっちゃんが半袖の体操着を更に肩までめくりあげて歩いてきた。
「いじめてないよっ。っていうか、うちらがきなこちゃんに対して過保護すぎるんだって。」