お兄さんと【完】

秀くんのご両親が経営してるお店に到着すると、当たり前のようにお店のドアには『CLOSE』の文字。


「やっぱり閉まってるね。ここで誰かと待ち合わせしてるの?」


不思議に思う星くんを他所に、私は少しずつ緊張してきた。


「うんっ。ちょっとだけ...待っててくれる?」


「いいよ。」


車に星くんを残して、私はお店のドアを軽くノックする。


すぐに開いたドアからは、秀くんのお母さんが出迎えてくれた。


「あ、こんにちはっ。今日はせっかくのお休みなのにすみませんでした!」


「あらあら、いいのよー。全然頼ってちょうだいね。」


「ありがとうございますっ!!」


思いっきり頭を下げてお礼を言う。


「準備はもうばっちりだから、もう入っても大丈夫よ。」


耳元で小さくささやかれて顔を上げると、満面の笑顔を私に向けてくれた。
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