お兄さんと【完】

ここで転んだりなんかしたらシャレにならない。


もうこれ以上にないくらいの緊張感でケーキをゆっくりと運ぶ。


キッチンを出て、星くんのいるテーブルに近付くにつれて照明が1つずつ消されて行く。


星くんが心配してか、椅子から立ち上がってくれたけど、私にはそんなの見る余裕もなく。


やっとの思いでテーブルにケーキを置いたときには、同時に大きく息を吐いた。


まるで運んでる最中に息を止めてたみたい。


「おわっ。すっごい!」


ケーキの出来に星くんも歓声をあげて私は一安心。


喜んでもらえてよかった!!


「星ー。早くロウソク消さないとケーキが溶けるー。」


秀くんのあおるような言葉。


たしかにこのまま見とれていたいくらい奇麗だけど、さすがにこのままじゃロウソクのロウも垂れちゃうしね。
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