お兄さんと【完】
「番号何番?」


「090のXXXX XXXXです。」


「今かけてるけど、音は聞こえないね。やっぱり車の中かな?」


探すのを協力してくれたお兄さんに悪いから、一応もう一度鞄の中を探してみたけど、やっぱりない。


「すみません、車戻ったら探してみます。」


「んじゃ、そろそろ出ようか。」


ぬるくなったコーヒーを飲み干すと、私のカップもゴミ箱に捨ててくれた。


「ごちそうさまでした!」


「どういたしましてー。」


コーヒーショップを出ると、まだ雨は降っていた。
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