お兄さんと【完】
またお兄さんがさしてくれた傘に入る。


「助手席乗っていいよ。」


そう言って開けてくれた助手席のドアに先に乗り込むと、お兄さんは傘を閉じて運転席に乗り込んだ。


私が後部座席を覗くと、暗闇の中に光る物を見つけた。


「あ、ケータイ!」


着信があったことを示すそのランプに手を伸ばすも、なかなか届かない。


私の手の先にあったケータイは、横から伸びた手によってあっさりと取られた。


「はい、どーぞ。」


「あ、ありがとうございます。」


お兄さんからケータイを受け取ると、ちょっぴり手が触れたことが気になった。
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