お兄さんと【完】
お兄さんの数歩後ろをついて歩きながら、キョロキョロと大学内を見渡す。


土曜日なのに、生徒と思われる人たちが結構大学内を歩いていた。


「星くーん!」


遠くから話しかけられたそんな言葉に、お兄さんは立ち止まって振り向いた。


そっか。


聞き慣れなくてスルーするところだったけど、星くんっていうのはお兄さんの名前か!


校舎の2階の窓から顔を出している女の人3人が、こっちに向かって手を振っていた。


「今日授業あるのー?」


「ファイル提出しに来ただけー。」


お兄さんの声が校舎に反射して私の耳に響く。


こんな大きな声も出すんだなぁ。
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