お兄さんと【完】
「そんなことないですよ!初めて行った大学も新鮮だったし、映画だって楽しかったです。」


反射的に出た私の返答は、ちゃんと普通に言えたはず。


それでもお兄さんに気を遣い過ぎてか、緊張してか、あまり楽しめなかったのが本心。


映画だって前から見たかったやつだったのに、内容をあんまり覚えてないもん。


それに今日はちょっと疲れた。


気疲れ...かな。


「なんかいつものきなこちゃんじゃなかったよね?」


「えっ?」


そうだった?


そんなことないよね?


っていうか、いつもの私っていつの私と比較してるの?


かずちゃんとこっちゃんと一緒にいる素の私と比べられたら、そりゃ緊張気味な今日の私はいつもと違うかもしれない。
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