[龍の国]セミテの少女
――数刻後、少女が消えた扉の前に濃紺のマントにフードを深く被った大小二つの人影が現れた。
小さな人影が扉を叩くと内側で微かに人の気配がするが扉は一向に開く様子はない。
しかし小さな人影は諦めずもう一度扉を叩く。
一歩下がった位置でその様子を見ていたもう一つの人影だったがふと、周囲を見回しある建物の影に視線を止めるといつの間に取り出したか数本の短剣をそちらに向かい立て続けに投げる。
微かに聞こえた軽い金属音と駆け去る足音に短剣を投げた影はそちらへ視線を向けていたが、扉が開く音に視線を戻すと少女が扉の影から顔を覗かせ立っていた。
「……誰?」
見知らぬ二人の訪問者へ困惑と疑いを含んだ声で少女が問いかける。
「私は……」
「お待ちを。申し訳ありませんが、我々を中へ入れてはいただけませんか? ここでは誰に聞かれるか分かりませんから」
少女の問いかけに答えようとした小柄な影の言葉をもう一つの影が遮り、丁寧だが有無を言わせぬ口調で少女へ言葉をかける。
「……」
その言葉に少女は眉をひそめ口を開きかけたが、言葉を発する事なく口を引き結ぶと目の前の二人を家の中へと招き入れた。
小さな人影が扉を叩くと内側で微かに人の気配がするが扉は一向に開く様子はない。
しかし小さな人影は諦めずもう一度扉を叩く。
一歩下がった位置でその様子を見ていたもう一つの人影だったがふと、周囲を見回しある建物の影に視線を止めるといつの間に取り出したか数本の短剣をそちらに向かい立て続けに投げる。
微かに聞こえた軽い金属音と駆け去る足音に短剣を投げた影はそちらへ視線を向けていたが、扉が開く音に視線を戻すと少女が扉の影から顔を覗かせ立っていた。
「……誰?」
見知らぬ二人の訪問者へ困惑と疑いを含んだ声で少女が問いかける。
「私は……」
「お待ちを。申し訳ありませんが、我々を中へ入れてはいただけませんか? ここでは誰に聞かれるか分かりませんから」
少女の問いかけに答えようとした小柄な影の言葉をもう一つの影が遮り、丁寧だが有無を言わせぬ口調で少女へ言葉をかける。
「……」
その言葉に少女は眉をひそめ口を開きかけたが、言葉を発する事なく口を引き結ぶと目の前の二人を家の中へと招き入れた。