[龍の国]セミテの少女
あまり広くはない居間へ二人を通し、隣のキッチンで少女は茶の用意を始めた。
(……彼らとは違うようだけど)
市場で撒いたいつもの連中とは毛色の違う、家の中へ入れてしまった二人の正体を考えながらも手早く茶の支度を終え、居間へと戻る。
居間へ入るとフード付きマントを脱いだ明るい金茶の髪の少年とその後ろへ控えるように立つ黒髪の青年の姿を認め、対照的な色彩の二人へソファーへ座るよう勧めながら茶を供すると、二人の向かいのソファーへ少女も腰掛けた。
(オッドアイ……)
真っすぐに視線を向けてきた少年の瞳を見た少女が、少年の素姓を推測していると少年が口を開く。
「突然、申し訳ありません。私の名はカオン·F·ラルーシェ、隣の者はエト·シドウです」
「……双玉の御子?」
少年――カオン·F·ラルーシェの名乗りを聞き、少女が言葉を洩らすとその言葉にカオンが肩を小さく揺らし息を吐いた。
「その二つ名を何故知っているのか聞くのは愚問というものなのでしょうね……無色の魔女よ」
カオンの言葉に少女から剣呑な気配が立ちのぼり、エト·シドウと紹介された青年が腰を浮かし懐へ手をやる。
「エト」
一触即発かと思われたとき、横から掛けられたら言葉にエトは浮かした腰を下ろし懐から手を出した。
「すみません、貴女はこの二つ名をお気に召してないのですね。では、なんと呼んだらよろしいですか?」
「……ナナシ」
謝罪の言葉と問いを口にするカオンへ、素っ気なく言葉を返す。
「ナナシさんですね、では改めてよろしくお願いします」
素っ気ないナナシに笑顔を向けると出されたお茶を口にしたカオンだった。
(……彼らとは違うようだけど)
市場で撒いたいつもの連中とは毛色の違う、家の中へ入れてしまった二人の正体を考えながらも手早く茶の支度を終え、居間へと戻る。
居間へ入るとフード付きマントを脱いだ明るい金茶の髪の少年とその後ろへ控えるように立つ黒髪の青年の姿を認め、対照的な色彩の二人へソファーへ座るよう勧めながら茶を供すると、二人の向かいのソファーへ少女も腰掛けた。
(オッドアイ……)
真っすぐに視線を向けてきた少年の瞳を見た少女が、少年の素姓を推測していると少年が口を開く。
「突然、申し訳ありません。私の名はカオン·F·ラルーシェ、隣の者はエト·シドウです」
「……双玉の御子?」
少年――カオン·F·ラルーシェの名乗りを聞き、少女が言葉を洩らすとその言葉にカオンが肩を小さく揺らし息を吐いた。
「その二つ名を何故知っているのか聞くのは愚問というものなのでしょうね……無色の魔女よ」
カオンの言葉に少女から剣呑な気配が立ちのぼり、エト·シドウと紹介された青年が腰を浮かし懐へ手をやる。
「エト」
一触即発かと思われたとき、横から掛けられたら言葉にエトは浮かした腰を下ろし懐から手を出した。
「すみません、貴女はこの二つ名をお気に召してないのですね。では、なんと呼んだらよろしいですか?」
「……ナナシ」
謝罪の言葉と問いを口にするカオンへ、素っ気なく言葉を返す。
「ナナシさんですね、では改めてよろしくお願いします」
素っ気ないナナシに笑顔を向けると出されたお茶を口にしたカオンだった。