bitter×bitter


「………善、教室行こ。」

「はーい!
じゃあね、いっちー先生!」


善は一弥に大きく手を振っていたけど、あたしは振り返りもせず、一弥から離れた。



「なぁ、美麗。」

「なに。」

教室に向かう途中で善が口を開いた。



「もうすぐ冬休みじゃん?
24日とか、25日とか空いてる?」


12月の24日と25日って…クリスマスだよね。

毎年毎年、違う男と一緒に適当にすごしてたな…。


「空いてるよ。」

「まじ?!
じゃあ俺ん家に泊まりに来ねぇ?」

「…うん、行く。」

「お~、やった!最高!
じゃ、また放課後な!」


そう言って、軽くあたしを抱きしめ、隣のクラスへと消えていく善。


クリスマスは善と過ごせるんだ。


毎年クリスマスはとても憂鬱だった。

でも今年は少し楽しみかも…。


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