10センチメートル☆ロマンス




「……あはっ ごめん、ボーッとしちゃった」



 うまく笑えてるかな。



「葵さん」

「そろそろ戻らなきゃねぇ!

 蒼くんも競技始まっちゃうから戻らないと!」



 気付かれないように。


 笑顔を貼り付け蒼くんの横を通り過ぎようとした時、


「……な、に?」


 蒼くんが、私の手を掴んだ。




「……最後まで見て。

 先に帰ったりしないで」





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