10センチメートル☆ロマンス




「え……」



 ―――と、集団の中から、蒼くんが抜け出しこちらに向かってくる。


 女の子は悲鳴をあげ、男の子達はこちらを見ながら指差し冷やかす。



「……ほら、蒼ちゃんのお呼びよ〜」


 ママさんはニヤニヤしながら私の背中を押した。






 私は一歩一歩、蒼くんに向かって歩く。



「……葵、さん」


 蒼くんは息切らして私の前に立った。



「蒼くん、おめでとう!」


 とにかく、何かを伝えたくて、出てきた言葉。



「……ありがとう」


 そう言った蒼くんのキレイな笑顔になぜか、周りがシン…とする。




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