わたしだけを見てほしいのに
「おまえ何やってるの?」
「ちょっと・・・
ちょっと逃げてきちゃった。」
「はぁ?逃げてきたって何?」

きつい感じに聞こえる
独特なトーンの直樹くんの
しゃべり方

ミシェルのメンバーの中でも
悠斗くんの家に一番頻繁に
遊びに来ていた直樹くん
なんだか久しぶりだった

「お前、寒くないの?」
「ちょっと、寒い。」

そういえばもう
薄暗くなってきている
長時間、外で過ごすような
気温ではなかった

「何?泣いてんの?」
「・・・・泣いてないよ。
直樹くんこそ何やってたの?
こんなとこまで来て。」

私はごまかした。

うちの高校に通う彼が
こんな所にいるのも変だったし。

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