わたしだけを見てほしいのに
「そこの楽器屋で、
バンドスコア買ってたんだよ。
お前、帰らねーの?」
「・・・うん。」

直樹くんは、ちょっと黙って
私の事を見ていた。

「お茶でもしてく?」
「うん。あったかいもの
飲みたい。」

私たちは、近くの
ファーストフード店に入った。

「はあ・・・あったかい。」

空いている2階席の隅っこ

私はホットティーのカップを
両手で包み込む

「おごってもらっちゃって
ごめんね。」
「人の彼女におごっても
仕方ないのにな。」


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